「記事制作を外注したいが、1本いくらが妥当なのかわからない」。オウンドメディアの担当者から最も多く寄せられる相談のひとつです。ネットで調べると「1文字1円」から「1本50万円」まで、価格帯が数十倍も開いていて、かえって判断に迷ってしまいます。
この記事では、依頼先ごとの費用相場を整理したうえで、なぜ「安さ」で選ぶと失敗しやすいのか、そして限られた予算を成果につなげるための依頼先の選び方を、企業のオウンドメディアやクライアントの記事制作を手がけてきた編集者の視点から解説します。
1. 外注の前に知っておきたい「オウンドメディアが止まる」現実
費用の話に入る前に、外注を検討する担当者が直面している現実を数字で確認します。
全研本社の調査(2022年、n=300)によると、オウンドメディアの65.5%が開始から半年以内に更新を止めています。停止理由の1位は「運営担当者がいなくなった・リソースがなくなった」で54.3%。つまり多くの失敗は、記事の中身以前に「作り続けられなくなる」ことで起きています。
外注は、この「続けられない」問題への現実的な解です。社内のスキル不足(55.4%)やネタ切れ(42.1%)を、外部の専門性とリソースで補う。だからこそ、費用を「安いか高いか」だけで見るのではなく、「続けられる体制をいくらで買うか」という視点が要ります。
2. 依頼先で単価はこれだけ違う——記事制作の費用相場
まず、記事1本あたりの相場を依頼先別に整理します。以下は各制作会社が公表する料金の目安をまとめたもので、公的な統計ではなく、媒体によって幅がある点にご注意ください。
| 依頼先 | 文字単価の目安 | 記事単価の目安(3,000字換算) |
|---|---|---|
| クラウドソーシング・個人 | 1〜5円/字 | 5,000〜30,000円 |
| フリーランスライター | 2〜10円/字 | 10,000〜80,000円 |
| 制作会社・編集プロダクション | 3〜15円/字 | 30,000〜150,000円 |
医療・金融・法務など専門性の高いテーマでは、専門家監修として1本あたり3〜10万円が上乗せされるのが一般的です。安さを優先してこの工程を省くと、YMYL領域では検索評価にも直結します。
3. 種別ごとの相場——SEO記事・取材記事・運用代行
記事は種別によってコスト構造が変わります。文章だけで完結するSEO記事と、取材・撮影を伴う記事では、必要な工程がまったく異なるためです。
| 種別 | 相場の目安(1本/月額) | 何にお金がかかるか |
|---|---|---|
| SEO記事(文章のみ) | 1〜6円/字が中心帯 | キーワード設計・構成・SEO編集 |
| 取材・インタビュー記事 | 5〜15万円/本 | 取材・企画構成・原稿化 |
| 導入事例記事(取材・撮影込み) | 10〜30万円/本 | 取材・撮影・事例の設計 |
| オウンドメディア運用代行 | 月20〜50万円(記事数込み) | 戦略・編集・進行管理 |
導入事例記事の相場は1本10〜30万円が標準です(詳しくは導入事例記事の作り方 完全ガイドで解説しています)。取材や撮影を伴う記事は、執筆そのものよりも「取材の設計と実施」に価値の重心があります。ここを削ると、表面的な内容の記事になり、結局読まれません。
4. なぜ「安い外注」ほど失敗しやすいのか
外注で最も多い失敗は、「安さで選んで、成果が出ず、作り直す」というパターンです。単価だけで発注先を決めると、次のような構造的な落とし穴にはまります。
- ×発注は安いが、修正の往復で工数が増える
- ×キーワードを渡すだけで丸投げになる
- ×誰が書いても同じ一般論の記事になる
- ×1本ごとの発注で戦略がつながらない
- ×担当者の確認・修正コストが見えていない
- ○社内の確認・修正コストまで含めて比較する
- ○企画と読者設計から一緒に考えてくれる
- ○自社ならではの一次情報が引き出される
- ○媒体全体の設計と連動している
- ○「作って終わり」でなく成果まで伴走する
安い外注の本当のコストは、請求書の金額には表れません。品質が低い原稿は、社内での修正・確認に担当者の時間を奪います。その担当者が疲弊して離脱すれば、前述の「半年で65.5%が更新停止」に直行します。表面的な単価の安さが、運用全体を止めるのです。
5. 失敗しない依頼先の選び方——5つのステップ
では、限られた予算で成果を出すために、どう依頼先を選べばいいのか。金額の比較の前に踏むべき手順を5つに整理します。
目的とKPIを言語化する
「記事を作ること」ではなく「何を達成したいか」を先に決める。リード獲得か、指名検索か、営業資料か。目的が曖昧だと、どんなに安く発注しても成果は測れない。
必要な工程を切り分ける
企画・取材・執筆・編集・入稿のどこを外注するかを決める。全部任せるのか、上流だけ社内に残すのか。ここが決まると、比較すべき見積もりの中身がそろう。
実績と「取材力」を確認する
過去の制作物で、一般論でなく取材対象の固有の話が引き出せているかを見る。文章のうまさより、聞く力・設計する力を確認する。
見積もりの「含まれる工程」を比較する
同じ金額でも、企画やSEO設計が含まれるかで価値は変わる。単価ではなく「その価格で何をやってくれるか」で並べる。
小さく試して体制を見極める
まず1〜2本で、進行のしやすさ・修正の質・コミュニケーションを確認する。続けられる相手かどうかは、実際に組んでみないとわからない。
依頼先を比較する前に、まず「いま手元にある記事が、読者に届く水準にあるか」を客観的に測っておくと判断がぶれません。記事URLを入れるだけで具体性・信頼性・読者設計・導線の4軸を無料でチェックできる記事コンテンツ無料診断を、外注の要否や依頼先の見極めの物差しとして使ってみてください。
6. 費用を「コスト」から「投資」に変える——内製・外注・編集部の3択
外注の費用を考えるとき、選択肢は「安い外注 vs 高い外注」の2択ではありません。実際には「内製・単発外注・編集部機能の外注」という3つの型があります。
生成AIの普及で、記事の下書きを作るコスト自体は大きく下がりました。総務省の情報通信白書(令和7年版)でも、生成AIを活用する日本企業は49.7%に達し、用途の最多は「文章の作成・要約・校正」(55.2%)です。一方でGoogleは、大量生成された低品質コンテンツ(スケーリングされたコンテンツの不正利用)を明確に評価対象外としています。つまり、下書きが安く作れるようになったからこそ、企画・取材・編集という「人の判断」の価値が相対的に上がっているのです。
そこで有効なのが、単発の記事外注ではなく、編集機能そのものを外部に持つという考え方です。baluboは、記事を単発で請け負うのではなく、企画設計から公開後の二次活用までを月額制で伴走します。
内製で続けるにはリソースが足りない。かといって単発外注では一般論の記事しか出てこない。その中間にあるのが、社内に編集部を持つ代わりに外部の編集機能を月額で使うという選択肢です。「作って終わり」ではなく成果まで見る体制であれば、費用は「コスト」から「投資」に変わります。
まとめ
- 記事制作の外注費用は依頼先で最大30倍近く開くが、その差は「文章の長さ」ではなく含まれる工程の差である。
- 単価の安さで選ぶと、社内の修正コストと担当者の疲弊が積み上がり、「半年で65.5%が更新停止」の失敗に直結する。
- 金額の比較は最後でいい。目的・工程・取材力・見積もりの中身・体制の順に見極める。
- AIで下書きが安くなった今こそ、企画・取材・編集という人の判断に投資する価値が上がっている。
自社にとっての最適な費用は、相場表ではなく「何を達成したいか」から逆算して決まります。まずは目的の言語化から始めてみてください。
よくある質問
Q. 結局、記事1本の予算はいくら見ておけばいいですか? 文章のみのSEO記事なら1本3〜8万円、取材を伴う記事なら10万円以上を目安にしてください。ただし「1本の単価」より「年間で成果につながる投資額」で考えるほうが、失敗が減ります。
Q. まず安いところで試して、ダメなら変えるのはアリですか? 1〜2本のトライアルで体制を見極めるのは有効です。ただし「安いから試す」ではなく「進行や修正の質を確かめるために試す」という目的で行ってください。安さだけを基準にすると、比較の軸がぶれます。
Q. 生成AIで社内制作すれば、外注は不要になりますか? 下書きの作成は社内でも可能になりました。一方で、企画・取材・ファクトチェック・編集といった「品質を担保する工程」は依然として人の判断が要ります。AIを使う前提でも、その設計と編集をどう担保するかが分かれ目です。
データの出典
- 全研本社「オウンドメディア運用担当者300人調査」(2022年、n=300)
- IDEATECH(リサピー®)「BtoBコンテンツマーケティング5段階調査」(2023年、n=101)
- リンクアンドパートナーズ「BtoBコンテンツマーケティングの課題調査」(2023年、n=1,002)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2024年度データ)
- 各制作会社の公表価格(STSデジタル、crocco ほか、2025年時点の目安)
費用の相場は制作会社が公表する目安であり、依頼内容や時期によって変動します。ご検討の際は複数社から見積もりを取り、「その価格に含まれる工程」を比較することをおすすめします。
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