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なぜ「記事の量産」はAI時代に価値を失うのか——編集部機能という選択肢

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balubo編集部
クリエイティブ支援の専門家
2026-07-05約7分で読める

「今月は何本出せたか」。コンテンツ施策の会議で、いまだにこの数字が最初に共有される会社は少なくありません。しかし生成AIの普及で、記事を作るコストは急速に下がりました。本数はもう、努力の証でも競争力の証でもなくなっています。むしろ、量を追うほど成果から遠ざかる局面に入りました。この記事では、公開されているデータをもとに「なぜ量産が価値を失うのか」を確認し、そのうえで企業が投資すべき対象を整理します。

「量産」のコストは、ほぼゼロになった

かつては、外注コストと制作時間の制約から「本数を出せること」自体が競争力でした。その前提はすでに崩れています。Ahrefsが2025年4月に公開した約90万ページの調査では、新しく公開されたWebページの74.2%に、AIが生成したとみられる文章が含まれていました。多くの企業が、同じAIツールで、同じような記事を、以前とは比べものにならない速さで作っています。

74.2%
2025年4月に新規公開されたWebページのうち、AI生成コンテンツを含む割合
出典:Ahrefs, 2025
約9割
コンテンツ制作にAIを活用する、または活用予定と答えたマーケターの割合(各種調査)
出典:複数のマーケティング調査, 2025

「速く、安く、大量に」が誰にでも可能になったとき、その3つは差別化の要因ではなくなります。同じ材料を同じ道具で加工すれば、似た成果物が並ぶだけです。似通ったコンテンツが増えるほど、読み手にとっての1本あたりの価値は薄まっていきます。

量が増えるほど、埋もれる

量産の問題は「差がつかない」ことだけではありません。増えすぎた結果、選ばれにくくなります。Graphiteの2025年の調査によると、新しく公開される記事のうちAIが生成したものは約52%と、人間が書いた記事とほぼ同数まで増えました。ところが、実際に「選ばれている」記事の内訳はまったく違います。

AI検索(ChatGPT・Perplexity)に引用された記事の書き手の内訳
82%
18%
人間が執筆AIが生成
出典:Graphite, 2025

同じ調査では、Google検索で上位表示された記事の86%が人間の手による執筆でした。AIに引用された記事でも、82%が人間の執筆です。Ahrefsの調査でも、人の編集をほとんど経ていない「純粋なAI生成」ページは全体のわずか2.5%にとどまります。つまり、AIで量産したコンテンツはWeb上に大量にあふれている一方で、検索でもAI検索でも、最終的に選ばれているのは人が設計し編集した記事です。

86%
Google検索で上位表示された記事のうち、人間が執筆したものの割合
出典:Graphite, 2025
2.5%
人の編集をほぼ経ていない「純粋なAI生成」ページの割合
出典:Ahrefs, 2025

希少なのは「作れること」ではなく、「選ばれる水準まで引き上げられること」です。量産はこの希少性を生みません。むしろノイズを増やし、自社の記事を自社の記事で埋もれさせます。

読者は「検索して選ぶ」のをやめつつある

もうひとつの地殻変動が、読者の情報接触の変化です。検索エンジンで一覧から選ぶ行動そのものが減っています。米Pew Research Centerが2025年3月に公表した調査では、検索結果にAIによる要約(AI Overviews)が表示された場合、外部リンクをクリックした人はわずか8%でした。要約がない場合の15%と比べ、ほぼ半減しています。

8%
AI要約が表示されたとき、外部リンクをクリックした人の割合(非表示時は15%)
出典:Pew Research Center, 2025
-58%
AI要約により、検索1位の記事のクリック率が減少した幅
出典:Ahrefs, 2025

Ahrefsの2025年末の分析では、AI要約の表示によって検索1位のオーガニッククリック率は58%減少していました。読者は記事の一覧を眺めて選ぶのではなく、AIがまとめた答えをその場で受け取るようになっています。この流れのなかで問われるのは「記事を出したか」ではなく「AIに正しく理解され、引用されるか」です。ChatGPTやPerplexityといったAI検索が回答の中で自社に言及するかどうかが、これからの可視性を左右します。

そのためには、構造化データの整備、一次情報の明示、信頼できる文脈設計といった「AIに読み取られる作り方」が必要になります。この観点でも、テンプレートで量産された記事はむしろ不利です。独自の情報も、明確な出典も、設計された文脈も持たないからです。

本当に希少なのは「編集部を回せる人」

ここまでのデータが示すのは、ひとつの結論です。不足しているのは「書ける人」ではありません。文章を書けるライターも生成AIも、すでに十分に存在します。足りないのは、戦略を設計し、テーマを決め、品質を担保し、成果を測って改善し続ける人材です。言い換えれば、編集部として機能を回せる人です。

この領域は自動化しにくく、事業への理解と編集の経験が同時に求められます。だからこそ、採用でも外注でも埋めるのが難しい。多くの企業がコンテンツで成果を出せないのは、書き手がいないからではなく、この編集部機能が欠けているからです。

「編集部機能」を持つという選択肢

現実的な答えは、編集部としての機能を外部に持つことです。単発の記事制作を発注するのではなく、次の4つの機能を一貫して担うパートナーを確保する、という考え方です。

1

戦略設計

事業目標から逆算し、誰に何を届けるか、どのテーマで戦うかを決める。本数ではなく、成果につながる打ち手を定義する。

2

編集ディレクション

企画から構成、原稿の方向づけまでを編集者が主導する。ライターやAIを、成果物の水準へ引き上げる。

3

品質保証

一次情報の裏取り、事実確認、トーンの統一を担保する。AIに引用される「信頼できる文脈」を作り込む。

4

AI可視性の計測と改善

AI検索に引用されているかを計測し、構造化データや情報設計を継続的に改善する。出して終わりにしない。

この4つがそろって初めて、コンテンツは「消費される記事」から「積み上がる事業資産」に変わります。重要なのは「何本作るか」ではありません。「どう編集し、どう届け、どう測るか」です。量産の価値が失われたこの時代に、その機能をどう確保するか。そこが、これからの分かれ道になります。


データの出典

  • Ahrefs「What Percentage of New Content Is AI-Generated?」(2025年、約90万ページ分析)
  • Graphite「More Articles Are Now Created by AI Than Humans」(2025年)
  • Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」(2025年3月)

※ 各数値は調査時点のものです。AI検索やアルゴリズムの状況は変化するため、最新の傾向は一次情報をご確認ください。

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