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INTERVIEW & EDITING

赤入れから校了まで——記事制作で迷わない編集・校正用語30選

赤入れ、初稿、初校、ゲラ、校正、校閲、校了、責了。広報・マーケティング担当者が記事制作の発注や原稿確認で迷いやすい編集・校正用語30語を、制作の流れに沿って解説します。

文:balubo magazine編集部
約17分で読める
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「原稿に赤入れをお願いします」「初校を戻してください」「これで校了です」。記事制作を外注すると、編集や出版の現場で使われてきた言葉がメールや進行表に現れます。

言葉の意味を曖昧にしたまま進めると、誤字だけを確認するつもりが文章全体を書き直してしまったり、「初稿」と「初校」を同じものだと思って締切を取り違えたりします。制作会社によって用法が少し違う言葉もあるため、発注側と制作側で作業範囲をそろえることが重要です。

この記事では、広報・マーケティング担当者が記事制作で出会いやすい編集・校正用語30語を、企画から公開までの順番で整理します。一般的な意味に加え、確認時に行き違いを防ぐポイントも解説します。

赤入れとは?

赤入れとは、原稿やデザイン案に修正指示、質問、確認事項を書き込む作業です。「朱入れ」「入朱」と呼ばれることもあります。紙に赤い筆記具で書き込んだことに由来します。現在はWordの変更履歴、Googleドキュメントの提案、PDFの注釈で行う確認も、慣用的に「赤入れ」と呼ばれます。

日本印刷産業連合会の印刷用語集でも、校正刷りに誤りがあれば訂正内容や印刷校正記号を赤字で記入すると説明されています。Acrobatにも、挿入、置換、取り消し線、コメントなど、紙の赤入れに相当する校正機能があります。

ただし、「赤入れをお願いします」だけでは、どこまで見ればよいかは決まりません。誤字脱字だけか、事実確認までか、構成変更も可能か。確認を依頼するときは、目的と締切を一緒に伝えます。

記事制作の基本フロー

記事制作は、文章を書く工程と、レイアウト後に仕上がりを確認する工程に大きく分かれます。Web記事では組版や校正刷りを省く場合もありますが、基本の流れを知っておくと、制作会社からの連絡を理解しやすくなります。

企画から公開までの基本的な確認工程
1

企画・構成

目的、読者、切り口、構成案を決める。

2

初稿・編集

最初の原稿を作り、編集、リライト、推敲を行う。

3

赤入れ・戻し

発注側と制作側が、修正指示や事実確認を往復する。

4

入稿・組版

確定に近い原稿を、デザインやCMSへ反映する。

5

初校・再校

仕上がり上で、文字、レイアウト、修正反映を確認する。

6

校了・公開

確認を終え、公開または印刷へ進める。

Web記事では、入稿から校了までをCMS上の確認でまとめて行うこともあります。
最初に区別したい二つの言葉
A初稿
  • 執筆者が出す最初の原稿
  • 文章を編集する段階
  • 構成や表現が大きく変わることもある
B初校
  • 組版・レイアウト後の最初の校正刷り
  • 仕上がりを確認する段階
  • 修正範囲を絞っていく

企画・執筆で使う5語

1. 企画

記事の目的、読者、テーマ、切り口、届けたい変化を決めることです。単に「何について書くか」ではなく、「誰のどんな疑問に、何を根拠に答えるか」まで定めます。企画と切り口の作り方は、記事の切り口を作る5ステップでも解説しています。

2. 構成案

見出しと各章の要点を並べた、記事の設計図です。取材記事では、取材前に作る「仮構成」と、取材後の素材に合わせて組み直す構成を分けることがあります。

3. プロット

記事の展開、順序、山場を文章化したものです。構成案とほぼ同じ意味で使う現場もありますが、一般にプロットは、各章で扱う内容や論理のつながりまで細かく示します。

4. トンマナ

「トーン&マナー」の略です。語り口、言葉の硬さ、漢字の量、見出しの付け方、ビジュアルの雰囲気など、媒体らしさをそろえる基準を指します。

5. 初稿

執筆者が最初に提出する原稿です。編集前提のドラフトであり、完成原稿とは限りません。「第一稿」「1稿」と呼ぶこともあります。

1

企画で決める

目的、読者、中心の問い、根拠、記事を読んだ後の行動。

2

構成で決める

情報の順番、見出し、各章の役割、重複と不足。

3

初稿で確かめる

論旨が通るか、必要な素材があるか、企画の約束に答えているか。

4

校正まで残さない

構成や主張の大幅な変更は、レイアウト前に終える。

初稿・赤入れの10語

6. 編集

読者と目的に合わせて、情報を選び、順番を組み、意味が伝わる形へ整えることです。誤字を直すだけでなく、企画、構成、取材、表現、確認進行まで含む広い仕事です。

7. リライト

元の情報や意図を生かしながら、文章を大きく書き直すことです。語尾だけを整える修正より範囲が広く、構成の変更や情報の追加を含む場合があります。

8. 推敲

書き手が自分の文章を読み返し、語句、論理、リズムを練り直すことです。制作現場では、執筆者の自己修正を推敲、第三者が目的に合わせて整える作業を編集と呼び分けることがあります。

9. 赤入れ

原稿やデザインへの修正指示、質問、コメントの総称です。赤字でなくても赤入れと呼ばれます。誰が修正するか分かるように、「指摘」だけでなく、修正方針または確認先を添えると進行が安定します。

10. 赤字

赤入れで書き込まれた修正内容そのものです。「赤字を反映する」は修正指示を原稿へ反映すること、「赤字を確認する」は指示内容を点検することを指します。

11. 戻し

確認した原稿や校正紙を、修正担当者へ返すことです。「初稿戻し」は初稿へのコメント返却、「初校戻し」は初校への校正指示の返却を意味します。締切は「確認を始める日」ではなく、相手へ戻す日時です。

12. 疑問出し

誤りと断定できない箇所に、確認の質問を出すことです。数字の根拠、固有名詞、話の矛盾、読者に伝わりにくい表現などを「要確認」として残します。

13. 表記統一

同じ意味の言葉や記号の書き方を、媒体のルールにそろえることです。「Web/ウェブ」「1カ月/1か月」、数字の全角・半角、括弧、送り仮名などが対象になります。

14. 素読み

元原稿や資料と照合せず、文章だけを通して読む確認です。文意、論理、読みづらさ、不自然な重複を見つけやすい一方、転記ミスを探すには原稿との照合が必要です。

15. ファクトチェック

記事中の事実が、信頼できる資料や当事者確認と一致しているかを調べる作業です。人名、社名、数字、日付、引用、制度、URLなどを確認します。表現を整える校正とは目的が異なります。

文章に関わる作業の重心
A編集・リライト
  • 構成や主張を整える
  • 読者に合わせて情報を足し引きする
  • 文章を大きく書き換えることがある
B校正・ファクトチェック
  • 原稿との不一致や誤りを探す
  • 表記・数字・固有名詞を確認する
  • 疑問は勝手に直さず確認へ回す

校正と校閲の違い

16. 校正

原稿と校正刷りを照合し、文字やレイアウトの誤り、不体裁を見つけて訂正を指示する作業です。デジタル記事では、誤字脱字、表記ゆれ、文法、リンクなどの確認を広く「校正」と呼ぶこともあります。

17. 校閲

文章の内容に踏み込み、事実関係、固有名詞、数字、引用、論理の矛盾などを調べる作業です。出版科学研究所は、原稿と試し刷りを見比べて語句の誤りを正す校正に対し、校閲は事実関係までチェックすると説明しています。

校正と校閲は、見る対象が違う
A校正
  • 原稿と仕上がりの不一致
  • 誤字・脱字・表記ゆれ
  • 文字化け・リンク・レイアウト
B校閲
  • 事実関係と情報の正確性
  • 数字・日付・固有名詞・引用
  • 論理の矛盾や説明不足

実務では両方を同じ担当者が行うこともあります。しかし、「校正をお願いします」とだけ依頼すると、事実確認まで含むかは伝わりません。確認範囲を「誤字脱字・表記統一」「事実関係」「構成・表現」のように分けて指定します。

レイアウト後に使う8語

18. 入稿

原稿や画像、デザインデータを、次の制作工程へ渡すことです。印刷では印刷会社へデータを渡すこと、WebではCMSへ原稿を登録することを指す場合があります。誰から誰へ渡すのかで意味が変わるため、「デザイン入稿」「CMS入稿」のように工程を添えると明確です。

19. 組版

原稿、見出し、画像、図版などを、決められたレイアウトに配置してページを作ることです。紙だけでなく、PDFやデジタル冊子の制作でも使われます。

20. ゲラ

組版後に内容と仕上がりを確認するための校正刷りです。「ゲラ刷り」「校正紙」とも呼ばれます。活版印刷で、組んだ活字を「ゲラ」という盆状の器具に入れたまま試し刷りしたことが語源とされています。

21. 初校

組版後に最初に出る校正刷り、またはその確認工程です。初稿と違い、文章だけでなく、改行、見出し、画像、キャプション、レイアウトも確認します。

22. 再校

初校の赤字を反映した、2回目の校正刷りです。初校の修正が正しく反映されたかを中心に確認します。ここで新しい文章を大量に追加すると、別の箇所に影響が出やすくなります。

23. 三校

再校の次に出す、3回目の校正刷りです。修正が多い場合や、関係者確認が複数回必要な場合に行います。以降は四校、五校と数えます。

24. 念校

校了前の念押しとして行う最終確認です。再校や三校の修正箇所だけを確認する場合も、全体を通す場合もあります。どこまで見る工程かは制作体制によって異なるため、対象範囲を決めます。

25. 著者校

著者や取材対象者が行う校正です。本人にしか判断できない事実、専門表現、発言意図などを確認します。文章の好みを際限なく反映する工程ではなく、確認目的と修正可能な範囲を事前に共有します。

初校

全体の仕上がりと、原稿からの転記を確認する。

再校

初校の赤字が正しく反映されたかを確認する。

三校

残った修正と、その影響範囲を確認する。

念校

校了前に、重要箇所を念押しする。

校正指示でよく見る3語

26. イキ

一度入れた訂正指示を取り消し、元の文字や状態を生かす指示です。「モトイキ」と書く場合もあります。どの指示を取り消すのかが曖昧にならないよう、対象を明確にします。

27. ママ

原稿に書かれている通りであること、または誤りに見えてもそのまま残すことを示します。「原文ママ」は、引用文の表記を直さず掲載していることを表す言い方です。

28. トル/トルツメ

不要な文字や記号を削除し、空いた部分を詰める指示です。削除後も空きを残す場合は「トルアキ」「トルママ」と区別します。JISの印刷校正記号を基準にした表記ですが、デジタル制作では「削除して詰める」と日本語で補足したほうが安全な場合もあります。

最終確認で使う2語

29. 校了

必要な確認と修正がすべて終わり、印刷や公開へ進められる状態にすることです。「校正終了」の略とされます。新潮社の用語解説でも、誤植などがなくなり、印刷してよいと判断することと説明されています。

30. 責了

「責任校了」の略です。修正箇所が少し残っている状態で、反映確認を制作会社や印刷会社の責任に任せ、完了とすることです。校了が「修正済みの完成状態を確認した」のに対し、責了は「残った修正の確認を相手に委ねた」という違いがあります。

公開・印刷へ進める判断の違い
A校了
  • 修正反映まで確認した
  • 完成状態を見て承認する
  • 重要な変更が残っていない
B責了
  • 軽微な修正が残っている
  • 最終反映を制作側へ任せる
  • 委ねる範囲と責任者を明確にする

責了は、確認を省略してよいという意味ではありません。価格、日時、社名、法務表現、リンク先など、事業上の影響が大きい箇所は、原則として発注側も最終状態を確認します。

赤入れ前に決める5項目

用語を覚えても、確認の目的が曖昧なら往復は減りません。原稿を回す前に、次の5点を決めます。

1

確認範囲

事実、構成、表現、誤字、デザインのうち、何を見るか。

2

決定権

誰が意見を集約し、競合する指示を最終決定するか。

3

修正方法

変更履歴、コメント、PDF注釈など、どの形式に統一するか。

4

版の管理

ファイル名、更新日時、担当者をそろえ、最新版を一つにする。

5

締切

いつ確認を始めるかではなく、いつ誰へ戻すかを決める。

6

校了条件

どの状態になれば公開できるか、最終承認者は誰かを決める。

複数人が同時に赤入れをすると、同じ箇所に逆方向の指示が入ることがあります。発注側でコメントを集約する担当者を一人置き、制作者へ渡す前に矛盾と重複を整理すると、修正回数を抑えられます。

外注時の確認フロー

制作会社へ記事を依頼する場合、初稿提出後に初めて確認方法を決めるのでは遅すぎます。企画時点で、確認者、回数、所要日数、校了条件を工程表に入れます。

記事制作で事前に合意したい確認範囲
企画確認者と承認者
企画赤入れの回数
企画事実確認の範囲
企画校了の条件
初稿コメントの集約
編集疑問点の解消
初校反映・体裁確認
公開前最終承認
企画時に合意する項目制作中に運用する項目
案件の機密情報や承認体制に合わせて調整します。

よい制作体制は、赤入れをなくす体制ではありません。判断が必要な箇所を早く見つけ、適切な人に確認し、版を増やさず確定できる体制です。

baluboの外部編集部サービスでは、企画、編集ディレクション、ライター管理、原稿の品質確認まで、企業の制作フローに合わせて設計します。記事単体の制作だけでなく、社内外の確認者が多いメディア運営の進行整理にも対応しています。

まとめ

赤入れは、原稿を完成へ近づけるための修正と確認のやり取りです。初稿は最初の文章、初校はレイアウト後の最初の校正刷り。校正は原稿や仕上がりの誤りを確認し、校閲は事実関係まで調べます。校了は修正済みの完成状態を確認したこと、責了は残る修正の反映を制作側へ委ねることです。

業界用語は、短く正確に指示を伝えるために生まれました。ただし、用語だけを投げても作業範囲までは伝わりません。「何を確認するか」「誰が直すか」「どの状態で完了か」を一緒に決めることが、記事制作をスムーズにします。

よくある質問

赤入れとは、誤字脱字を直すことですか?

誤字脱字の修正だけではありません。表現の変更、事実確認の質問、構成への意見、デザイン上の指示なども含みます。依頼時に、どこまで確認してほしいかを指定します。

WordやGoogleドキュメントのコメントも赤入れですか?

はい。赤色で表示されていなくても、変更履歴、提案モード、コメント、PDF注釈による修正指示は、一般に赤入れと呼ばれます。

初稿と初校の違いは何ですか?

初稿は執筆者が提出する最初の文章です。初校は、その原稿を組版・レイアウトした後に出る最初の校正刷りです。初稿では構成や内容、初校では文字と仕上がりを中心に確認します。

校正と校閲は、どちらを先に行いますか?

一律の順番はありませんが、内容や事実関係を固めてから、最終の表記やレイアウトを校正する流れが効率的です。実務では並行して行い、初校で両方を見ることもあります。

校了後に修正できますか?

技術的には可能な場合がありますが、公開遅延、追加費用、別箇所への影響が生じます。価格、日付、社名など重大な誤りを除き、校了後の変更は避ける前提で進めます。


参考資料

※用語の使い方は、出版社、制作会社、媒体、紙・Webの工程によって異なる場合があります。本記事では、記事制作の発注・確認で使われる一般的な意味に整理しています。

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balubo magazine編集部

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